中型クラスは運転席からの見晴らしが良く、周囲の状況がとても把握しやすい。
そんな運転の楽さもあり、頭の片隅で考え事をしながら運転をしていた。
ポリ割の例 |
作りかけのオブジェクトのポリゴン分割を、いかに効率よく配するかを考えていたのである。
形状固定のオブジェクトであれば、さほど考える事も無いのであるが、ジョイントを仕込んで稼働する形状、例えるなら表情を付けるジョイントを仕込んだ「顔」などは、変形後の具合も考慮する必要がある。
私の場合、プログラムなどもそうだが、他の事をしながら頭の片隅で考える事で、普段の思考力を超える奇跡的なアイデアを思いつく事が多いのだ。
夜にスクリプトの事を考えながら寝てたら、夢うつつでアルゴリズムが浮かんで飛び起きたり、酒飲んで酔っぱらって自分が作った完璧に動くソースが、シラフでは解読できなかったり。
そんな感じで運転しながらの今回も、ある部分に関して幾通りかのポリゴン分割方法と共に、一つだけ「神のポリ割」とも呼べるような分割方法を思いついたのだ!
一瞬にして視界が開けたような感覚。
脳から快楽物質が放出されているのが如実に分かるような感覚。
すばらしい!
帰ったら早速実践すべく、胸を躍らせながら運転を続行!
そんなとき、ある対向車が目に入った。
常識的な審美眼を持っていると自負する私が、「べっぴんさん」と認識できる女性が運転しているようだ。
世間一般では美人さんとされる容姿である。
運転中のよそ見は厳禁であるので、視覚内で存在が認識できる程度に把握していたところ、彼女を凝視せざるを得ない出来事が起こった。
不意に彼女が手を上げ、おもむろに人差し指を伸ばす。
それが向かった先は・・・
自らの鼻の孔。
何という事だろうか。
黙って澄ましていれば花も恥らわんばかりの美人さんが、ダイナミックに鼻をほじくりながらドンドン向かってくるのである。
近寄れば近寄るほど美人である事が認識できるのだが、シチュエーションが残念過ぎる。
先の高揚していた気分と、この衝撃的な光景のギャップで、私は暫く唖然茫然。
不意にこのインパクトは卑怯である。
家に帰り着く頃には、とても印象的な光景を見たことは覚えていた私だが、何か大事な記憶を失っているであろう事に気が付くことは無かった。
- 完 -
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